北海道大学大学院情報科学研究科

ソフト認証と健康モニタリング(妖精IT)

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[Papers]

バイオメトリックスなどを用いた高精度の認証システムを使用する場合、装置に指を接触させるな
ど、ユーザは認証のための動作を行う必要があります。しかし、これを何度も行うのはユーザにとって負担になります。例えば、家の玄関に高精度の認証装置をつけたとします。すると、(家から出るときも認証すれば)家の中に誰がいるのかはわかりますが、2人以上中にいる場合は、テレビの前に座っているのが誰なのかわかりません。テレビの前に座っているのが誰だかわかれば、その人の好みに合った番組をお勧めするなど、パーソナライズされたサービスを提供することが可能となります。しかし、テレビを観たり、冷蔵庫を開けるたびに、そのようなサービスのために認証動作を行うのはユーザにとって面倒です。そこでこの問題を解決する手段として、以下のような研究を行っています。

ユーザ追跡

一度認証されたユーザを完全に追跡できれば、その後の認証は必要ありません。ユーザ追跡には、ビデオカメラなどから得られる映像情報を使う方法も考えられますが、ユーザを監視されているという不安な気持ちにさせるという問題点があります。そこで、我々はユーザにとってそのような不安が少ない方法として、天井に設置された複数の赤外線センサーネットワークによりユーザの移動を感知し、追跡する研究を行っています[tai_2005]。

赤外線センサーを用いたユーザ追跡システム

出入口の指静脈センサー(日立製)により誰が入退出したかはわかるようになっています。 (ハード作成は野中先生)

独居高齢者に起こりうる異常の発生モデルと検知

近年、高齢化に伴い、独居老人の孤独死に対する不安や介護労働者不足が社会問題になっています。私たちは、非接触センサーにより高齢者が起こしうる複数の異常行動(転倒や徘徊、閉じこもりなど)を検出することで、独居高齢者の健康寿命の延長や介護にかかる負担削減などを目指しています。しかし、検出したい複数の異常行動やその原因がセンサデータとして観測されるまでに複雑な因果関係のモデルがあり、センサデータの生成と解析の両方でそのモデルを考慮する必要があると考えています。そのために、1. 高齢者の起こしうる異常のモデル化、2. センサデータのシミュレーション、 3. 適切な異常検出手法、以上3段階でこれらの問題に取り組んでいます。

異常行動とそれらを引き起こす原因,センサでの観測,生成する特徴量の因果関係


シミュレーションに用いる仮想的な間取りや家具の配置

デスクワークにおける日常的な健康管理

近年、日常的にデスクワークを行う人が増加しています。長時間のデスクワークは健康に悪影響を及ぼすと言われており、常に健康に気を付ける必要があります。しかし、定期的に病院へ出向くのは大変です。そこで私たちは、椅子に敷設された圧力センサから得た姿勢の変動やwebカメラから得た生体情報(脈拍数・呼吸数など)を用いることで、着席者に対して日常的に健康管理を行うことを試みています。

圧力センサーマット

圧力センサーマット

 

非接触脈拍測定の様子

非接触脈拍測定の様子

歩容による高齢者の運動機能低下の見守り

歩容とは, 人の歩き方の癖を表し, 例えば, 歩幅や歩行速度, 歩行時の腕のふり幅, 歩行バランス等です. 近年, 高齢化社会が進む先進国では, 高齢者の介護人員の不足や, 莫大な社会保障費が課題となっており, 自動的に高齢者を見守る技術が必要とされています. 歩容は筋肉の変化や脳の状態と密接に関係しているため, 運動機能低下の検知や, 脳疾患検知, つまづき検出といった高齢者の見守り技術に応用することができる. また, 歩容は個々人によって特徴があることから, 個人識別の研究も進められている他, 犯罪捜査でも用いられたことがあります. 高齢者を見守るためには, インシデントの検知だけでなく, その空間にいる誰がそのインシデントに遭ったかを知る必要があるため, 個人識別技術も高齢者の見守り技術に必要となります. このことから, この研究では, 高齢者が複数人生活する施設を想定し, 個人を識別しつつ歩容を計測することで, 運動機能低下を検知する仕組みを作ることを目的としています. 高齢者を日常的に見守るためには, プライバシーの侵害, センサーを体に装着する等の利用者にかかる負担等をできるだけ軽減したセンサ技術が必要です. 私たちは, このために焦電型赤外線センサを用いた研究を行っています.

天井に取り付けた焦電型赤外線センサモジュール

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